猫が鳴いているのじゃ

さっきから窓の下で猫が熾烈な縄張り争いを繰り広げている。いやはやすごい声である。ありゃどちらかが動けなくなるまでやる気だろうか。

猫の縄張りはそれほど広いものではないらしい。せいぜいが半径数十メートルくらいなもので、例えば家に住み着いている猫はその周りをうろうろするくらいなものなのだそうだ。高いところにいるのは縄張りを監視するためである。

その昔、私の実家にも猫がいた。マルチーズより体の大きな猫だった。そもそも体がでかい、太っていたわけではないところがなんとも。その猫が突然子猫数匹と母親らしき猫を引き連れて家のベランダに帰ってきた。責任を取ったわけでもなかろうが、とにかくこれで飯を食えなくなることはない。正式に飼っているのは牡の1匹だがこうやって連れてこられてはみんなの餌を用意することになる。しばらくはベランダがにぎやかだった。

ある日、子猫たちもそこそこ大きくなって自分で動けるくらいになった。すると、母猫が1匹ずつ加えてベランダの外に連れて行く。離婚したかどうかはしらないが、とにかくベランダは元のように静かになり、猫たちはいなくなったのだった。

あっ、猫たちは静かになったぞ。どうなったんだろうか。