Focus 40 Blue 5th クイックレビュー

前書き

なんのことだ?と思われた人も多いだろう。点字ディスプレイの話である。「点字ディスプレイってなんだ?と思われた方もいらっしゃるだろう。点字が表示されるディスプレイである。

コンピュータにはディスプレイが接続されている。ディスプレイには視覚的に見ることのできる文字が表示されているだろう。ということで、点字が読める人ならばコンピュータに接続できる点字が表示できるディスプレイがあれば、ディスプレイを見ることができなくてもコンピュータが使える、ということになるはずだ。

話はそう単純ではないのだが、とっかかりとしてはそう思っていただいてかまわないだろう。

Focus 40 Blueとは

このディスプレイ、米国のフリーダム・サイエンティフィック社が発売しているものだ。最初の機種がリリースされてからはもう15年くらいになるだろうか。最初のものはかなり大きなものだったなと言う記憶がある。

昨年12月に日本でも発売された。詳しい製品情報は
エクストラ社の製品ページ
をご覧頂くとして、どんなディスプレイなのか簡単に書いてみよう。

  • 40セルの点字表示部
  • 8個の点字入力用キー
  • 文書の移動や表示位置を変更するためのナビゲーションキー
  • その他のキー
  • USB-Cコネクター
  • Bluetooth接続(複数台登録できる)

といったところだ。USB端子がUSB-Cなので、端子の向きを考えなくて良くなったのは地味に便利だ。

さて、ソフトウェア的に見るとこのディスプレイには、大きく分けて三つの機能がある。

  • コンピュータの画面を点字として表示する機能
  • コンピュータのキーボードとして振る舞う機能
  • 単体としてテキストデータを編集する機能

以下、それぞれについて簡単にレビューしてみよう。

コンピュータの画面を点字として表示する機能

この部分は、これまでのFocusシリーズと基本的には変わらない。それぞれの点字セルの上にルーティングキーがあるのも同じだ。かつては二組のルーティングキーを備えたものもあったけれど、結局1段一組に落ち着いているようだ。日本のユーザは「タッチカーソル」と呼んだ方が馴染みがあるだろうか。

このルーティングキー、点字ディスプレイに表示されている文字やアイコン(を文字にしたもの)の向こう側のキーを押すと画面上の対応する部分を左クリックしてくれる、というものだ。使い慣れるとなかなか便利である。

コンピュータの表示装置として使用するには、対応するソフトウェアをインストールする必要があり、結局のところ、表示装置として使いやすいかどうかはこのソフトウェアに依存するところが大きい。私は普段 
JAWS
を使っているのだが、その他のソフトウェアだと必ずしも表示装置としての機能を100パーセント使えていないのが現状だ。

コンピュータのキーボードとして振る舞う機能

こちらはインストールしているソフトウェアに強く依存する。キーボードとしてはほとんど使えないソフトからJAWSのようにWindowsで普段行うような操作のほとんどが点字ディスプレイを使って行うことができるものまで様々だ。コマンドが多くて覚えるのが大変なのだが、基本的な編集操作やダイアログボックスの操作、アプリケーションの起動といったことも点字ディスプレイから手を離さずにできる。

文字入力は、残念ながら日本語に対応していない。英語であれば完全に入力できるのだけどな。

単体としてテキストデータを編集する機能

このディスプレイの目玉機能がこれだ。誤解を恐れずに言うなら
ブレイルメモ
的な機能が搭載された。扱えるファイルはASCIIテキスト(正確にはNABCCテキストと言うべきか?)だけなので、点字のデータを編集するのには使えるだろう。想定としては、簡単なメモを取ることだ。取ったメモは点字なのでそのままでは扱いにくい。なんとか日本語の漢字仮名交じりに変換できれば利用価値は一気に大きくなる。

とはいえ、例えばミーティングに出席するとかでメモを取りたいときなどにはかなり重宝するはずだ。通常の点字ディスプレイからメモ機能への移行はとても簡単だ。また、ファイルは点字ディスプレイに装着したMicro SDに保存されるため、たくさんのファイルを持ち歩ける。

一通りの編集機能はあるため、メモを作るくらいならば困らないだろう。そのうちファイルをまたいだ検索なんかにも対応してくれると良いな。

最後に

気の向くままに書いてきたのでわかりにくいかとは思う。気になる方は実際に触って見られるのが良いだろう。11月には
サイトワールド
も開催される。

ということで、私は返却してしまったので、ちょっと前のFocusを使うことにしよう。