MIDI楽器を使った録音

続いてMIDI楽器を使った録音をやってみよう。基本的には音声の録音と同じである。先ほどのサンプルセッションに新しく楽器を追加しても良いだろうし、新しくセッションを作ってみても良いだろう。

録音と言っているが、実際には音声が記録されているのではない。MIDIデータが記録されるのであり、再生する場合には録音するときに使った楽器が必要になる。

機材の接続

音声の録音と同じように機材を接続しなければならない。MIDI関連の基礎知識は他のサイトに譲るが、どのインターフェースのどのチャンネルでデータが送受信されているかくらいは気にしておくと良いだろう。

こちらも接続しただけでは音は出ない。適切にトラックを作成し、必要に応じて入出力設定を行い、あるいは必用なプラグインを起動して設定しなければ音は出ない。
音声の録音よりはややこしい作業になる。

Instrumentalトラックの作成

通常はこちらを使うことが多いのではないかと思うので、Instrumentalトラックを作成する手順を紹介しよう。手持ちのキーボードのMIDI出力をコンピュータに接続して、キーボードの出力もコンピュータに接続している状態で解説する。キーボードの音声出力がステレオで接続してあるのならば、フォーマットをステレオで作成する。

さて、トラックはできただろうか?音声と同じようにArtist Mixのフェーダーが上がってくるだろう。続いて、キーボードの音が聞こえるようにする。実は音が聞こえていなくても
MIDI録音はされている。が、実感が伴わないしそもそも演奏できないので、ちゃんとキーボードの音はモニターできるようにするのだ。

  1. できたトラック(おそらくInst1という名前だろう)を探して、インタラクトする
  2. トラック内の”オーディオインプット”ボタンを探してアクティベートする。初期値は入力なしになっているはずなので、キーボードを接続しているチャンネルを選ぶ。正しく選べれば、キーボードの音がモニターに返ってきているはずだ。
  3. 続いてトラックの録音ボタンを押す。これでそのトラックが録音待機状態になる。ただし、音声のときと違って録音ボタンのOn/Offに関わらず、モニターにはキーボードの音が返ってくる。
  4. 編集カーソルを録音したい位置に合わせる。この場合はセッションの先頭なのでリターンキーを押しておく。

録音

それでは録音してみよう。こんな感じかな。

  1. テンキーの3を押す。これで録音開始。サンプルセッションを使っているのならば、「蛙の歌」が聞こえているだろう。そのまま演奏すれば録音される。ちゃんと自分が演奏しているものも聞こえているだろう。
  2. テンキーの0を押すと録音は終了する。音楽が終わっても終了しないと延々と録音されるのでご注意を。
  3. テンキーの0を押して再生してみよう。先ほど録音を始めた位置から再生される。どうだろう。ちゃんと自分の演奏が聞こえてきただろうか。

MIDI関連の小ネタを書いておこう。

テンキーの9は、「マージモード」のOn/Offである。これは、録音するときに、前のデータを消さずに重ねて録音する機能である。例えば右手を先に録音して続いて左手を録音すると、ピアノがそこそこしか弾けなくてもなんとかなる。あるいは、ドラムパートを録音しているときに、キック・スネア・ハイハットと順番に録音していくことができる。

テンキーの7でクリックのOn/Offができる。事前にクリック用トラックを作成しておく必要がある。メニューバーのトラックメニューにある”クリックトラックの作成”を選ぶのがもっとも簡単だ。

テンキーの8で2小節分のカウントをOn/Offすることができる。曲の途中から録音するときなどに便利。

演奏に失敗したと思ったらCommandキーとテンキーのピリオドを押す。録音が破棄される。あるいは、先ほどのマージモードの設定を間違えて録音してしまったときもそうだ。慌てずにとりあえずCommandキーとテンキーのピリオドをおす。

MIDIの録音は所詮データの記録である。最悪MIDIエディタで編集できる。生楽器を演奏しているときとはまったく違った間隔で録音ができると思う。

後処理

このままでもよいのだが、キーボードの音を使ってMIDI録音をした場合、再生するとキーボードが自動演奏しているだけなので、なかなかに不便である。最終的には音声にしておく必要がある。前に書いた方法でキーボードの音を録音すればよい。手順はこんな感じだろうか。

  1. キーボードの音を録音するための音声とラックを作る。
  2. Instrumentalトラックのオーディオインプットを「入力なし」に設定する。これでキーボードを弾いても音は聞こえないだろう。
  3. 続いて忘れずにInstrumentalトラックの録音を解除する。忘れるとMIDIデータを失う。
  4. 先ほど作った音声トラックのオーディオインプットを、キーボードが接続されているチャンネルに設定し、録音ボタンを押す。これでキーボードの音が聞こえるようになっただろう。
  5. 編集カーソルを録音開始したい位置に合わせる。先頭から録音するのならばリターンキーを押す。
  6. テンキーの3を押す。キーボードが自動演奏されて、その音がオーディオトラックに録音される。もしキーボードが自動演奏されないのならば、Instrumentalトラックの録音解除を忘れた可能性が高い。慌てずにCommand+テンキーのピリオドを押して中断。